地価公示と路線価との関係
令和5年の地価公示が公表されました。
地価公示とは、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が、一般の土地の取引価格の指標とするなどのため、都市計画区域等における標準地を選定して、毎年1月1日時点の1㎡当たりの正常な価格を判定し公示するものです(国土交通省HPより)。
要するに、国土交通省がいくつかの土地をピックアップし、専門家に1月1日時点の土地の単価(1㎡)はいくらなのかを調べさせているわけです。
不動産は個別性が高く、頻繁に売買されるものでもないため、この辺りはいくらくらいで売買できるのだろう、という指標がプロ以外の人も知ることができるように、公表されているのです。
さて、公示地価以上に知名度が高く、価格の参考とされているのが、国税庁が発表している「路線価」です。路線価は、あくまで相続税・贈与税の課税価格を計算するためだけに作成されていますが、実際は売買の参考などに使われることもあります。
路線価と公示地価、一見関係ないように見えますが、両方とも公的な土地評価ですので、密接な関係があります。路線価の作成プロセスを知ると、その関係が見えてきます。
路線価作成のプロセスとしては、以下のとおりです。
1 路線価の標準地を決める
2 標準地の単価がいくらなのか、精通者(不動産鑑定士など)の意見を聞く
3 標準値の単価が決まったら、標準値が接する路線価を単価の80%にする
4 標準地がない路線は、標準値がある路線を参考に路線価を決める
ここで、標準地とその単価を決めるルールがあって、「公示地は必ず路線価の標準値にしなくてはならない。そしてそこの路線価は公示価格の80%にしなくてはならない」というものです。つまり路線価は、公示地価に必ず従わなくてはならないのです。
公務員は、説明できないことを極端に嫌うため、「公的評価の公示地価と路線価が全然違うのはなぜ?」と質問されないように統一しているのです。また、路線価を作成するために意見を聞く精通者と、公示地価を作成する不動産鑑定士、また固定資産税評価額を決める不動産鑑定士は同じ方が就任されることも多いので、同じ価格になるのも自然といえます(固定資産税評価は公示地価の70%)。
令和5年はアフターコロナで全体的に公示地価も上昇していますし、名古屋でいえば栄の再開発で特に上昇幅が大きくなっています。東海市・刈谷市・安城市なども旺盛な住宅需要により公示地価は上昇しており、例年7月上旬に公表される路線価も、同じようにこれらの地域は上昇することがわかります。
<追記>
令和5年分の路線価は、7月3日(月)の11時に公表されるとが決まりました。
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